動物にもスキンケアの時代?!

 まだまだ寒い日々が続いていますが、皆さんいかがお過ごしでしょうか?春になってきましたが、まだまだ乾燥が気になりますよね。実は人と同じように、ワンちゃんにもスキンケアが有効であることがわかってきました。

【犬アトピー性皮膚炎は皮膚バリア機能異常が関与】

 犬アトピー性皮膚炎のワンちゃんは、皮膚の角質層に存在する保湿成分であるセラミドが、正常なワンちゃんに比べて減少していることがわかっています。このセラミドが少ないことで、経皮水分蒸散量が増えて皮膚の乾燥が起こりやすくなります。こういった皮膚バリア機能が生まれつきあるワンちゃんは、さまざまなアレルゲン(抗原)に暴露されやすくなり、異常な免疫反応からアトピーを発症すると考えられています。

【犬アトピー性皮膚炎に対するセラミドの効果】

 ここでポイントとなるのが、保湿です。犬アトピー性皮膚炎の治療ガイドラインでも、セラミド関連物質により角質構造の改善が認められたといった報告や、症状改善の報告が取り上げられています。全ての症例に100%有効というわけではありませんが、実際に診療をする中で、保湿により状態の改善が認められた子はたくさんいます。

【保湿剤ってどんなものがあるの?】

 保湿剤といっても、配合されている成分や形状にはさまざまなものがあります。先ほど述べたように、基本的にはセラミドが含有されているものが使いやすく、効果も出やすい印象です。他には、皮膚バリアに関与する必須脂肪酸が含まれた製剤などがあります。

  • ピペットタイプ

ノミダニ予防薬のように、少量の液体を滴下するタイプです。毎日ではなく、週1〜3回投与など、実施の間隔が空けられるため、なかなかケアがしづらいオーナー様におすすめです。

ピペットタイプはシャンプーとシャンプーの間で使えるケア用品です。
デルモセントシリーズは、通常の皮膚用以外に、膿皮症になりやすい子用、
アトピー性皮膚炎の子用がありセレクトしてあったものを探すのにお勧めです。

  • スプレータイプ

広範囲に使用しやすいです。直接触らなくてもつけることができるので、足先など触られるのが苦手なワンちゃんにも使用できます。

高濃度のセラミドライプです。広範囲にスプレーできいます。
ジェルもあります。ジェルは肉球や足、集中して使いたい場所に使うのがお勧めです。
  • ローションタイプ

毛が少ない部分に直接塗るのに適しています。

  • フォーム(泡)タイプ

毛の上から塗っても、細かい泡が皮膚まで浸透してくれるので使いやすいです。実際に一番処方しているのがこのタイプかもしれません。

泡で出て使いやすい。香りも優しくいい香りです。
パラベンなども含まれておらず皮膚に優しい成分で保湿効果が抜群です。
下の部分をつけかれられるので経済的です。
  • 入浴剤

人用の入浴剤を使用することもありますが、ワンちゃん用の保湿を目的とした入浴剤があります。全身を一気に保湿できるので、お風呂が好きなワンちゃんにはおすすめです。

 今回は保湿剤についてご紹介していきました。スキンケアの一手間を加えることで、症状の改善やお薬を減らすこともできます。皮膚が弱い子、皮膚病でお困りの子はぜひ一度ご相談ください。

当院は早朝7時から日曜・祝日は9時〜完全予約制で診療を行なっています。
夜間に体調を崩し朝になっても回復していない場合や朝からお仕事やご用事がある場合など、早朝の診療ですぐ対応いたします。
WEB予約でご予約枠がない場合、緊急時はすぐにお電話でお問い合わせください

この記事を書いた人

獣医皮膚科認定医 門岡友子

この度「めぐり動物病院 元代々木」にて皮膚科専門診療を任されることとなりました。
皮膚疾患は動物病院への来院理由でも常にトップ3に入る疾患です。
また、アレルギーや感染症、免疫介在性疾患、腫瘍など、原因が多岐に渡るのも皮膚疾患の特徴です。
そのため、皮膚疾患の原因を一つ一つ丁寧に紐解き適切な診断を行い、ご家族に寄り添った治療を提案してまいります。
ワンちゃんネコちゃんの皮膚疾患にお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

経歴
・麻布大学獣医学部 卒業
・Vet Derm Tokyo 皮膚科第1期研修医
・ヤマザキ動物看護専門職短期大学 非常勤講師
・日本小動物ケースベースド情報ネットワーク(JCABIN)皮膚科担当講師