喘息を疑う症状(猫喘息1を参照)や経過があった場合、診断には他の下部気道疾患や喉の疾患等の呼吸器疾患(猫喘息1参照)との鑑別が必要となりそのために必要な検査を行います。
【各種検査】
- レントゲン検査(X線検査)
喘息の猫の6〜20%程度はレントゲン検査で正常だったとという報告もあるため、異常がなくても病気を否定はできませんが、以下の様な所見があると猫喘息を疑うことになります。- 気管支および気管支間質陰影
- エアートラッピング(肺の過膨張)という肺に空気が多い所見 空気を吸って吐く時に細い気道が収縮したり粘液が詰まったりして空気が吐き出せない様子の時の所見です。
- 右中葉という肺が潰れて空気が入らずに萎んでしまっていることもあります(無気肺)。
- 血液検査
- 喘息の猫では白血球の種類のうちの好酸球という細胞が2割弱から4割程度の猫で、報告によっては6割の猫で高値だったという報告があります。ただ、他の寄生虫疾患でも上昇することがあるため解釈には注意が必要です。
- 気管支肺胞洗浄(BAL )猫喘息は初期だと発作的な症状なので、発作がない時は正常になります。よって、ある程度症状がある状態でこの検査を実施するとより結果が得られます。
- 全身麻酔で口から気管支へ細いカメラを入れ、中を観察し少量の生理食塩水で洗って回収した液の中に含まれる細胞の種類でをみます。好酸球が増加(その程度は17−20%より多い、25%以上としているデータもあり)しているという所見があると喘息を疑う一つの所見となります。
- CT検査
異常所見がある場合は判別がつきやすくなり、レントゲンの写真より細かく見る必要がある時には適応となりますが、慢性気管支炎とは所見が似ているため区別がつかず、全身麻酔下での検査のため一般的な検査ではなく必要に応じて実施するようになります。過去には寄生虫感染の特徴的な結節がレントゲンより分かり易かったという報告もあり、経過に応じて考慮すべきと思われます。
【 治療 】
- 気管支拡張剤
- 抗炎症:ステロイドの注射・経口薬、吸入ステロイド
注射や経口薬は効き目がはやく猫喘息には反応がいいですが、基礎疾患がある子や長期投与で副作用があります
吸入ステロイドは効きがゆっくりですが全身的な副作用が少ないとされています - 環境の改善(空気清浄機もあり)も試してみる
猫喘息は似た様な症状や検査所見を疑う病気が多く診断は簡単ではありません。
繰り返しになりますが、症状、頻度および経過はとても重要な情報になり、診断の一助になります。
オーナーにお願いしたいこと
- 症状に気がついたら早めに動物病院に相談
- いつから、どのくらいの頻度などメモをしておくのをお勧め
- 症状をスマホなどで動画で記録してみよう
- 治療や診断がしにくいフィラリア予防をすると安心です
気になる症状があればご相談くださいね。
引用文献
Trzil, Julie E. 2020. SAP 50(2): 375–91.
Grotheer, Maike et al. 2020.JFMS 22(7): 649–55.