人も犬猫も下痢をしても自然に治ることもありますよね。病院に行った方がいいですか?と事前にご相談を受けることも多いです。
うちの子が下痢をした時、どんな時に急いで病院に行く必要があるのかも含めご紹介いたします。
すぐに治る通常の下痢のほかに長く続いてしまうもの。下痢が続く時間で分類されます。
- 3-7日間 急性下痢
- 8-13日間 水っぽい下痢が続く 長期下痢
- 14-21日間 液体が多くでる 慢性下痢
慢性の定義は過去には4週でしたが最近は3週間以上続く場合を慢性とされるようになってきました。
この持続時間で急性か慢性かにわけることはその後の対応が変わるのでにおいてとても大事になり、長期から慢性であれば動物病院をすぐに受診してください。特に体重が減るようなものは元気で食欲があっても要注意です。
病院でしっかり経過を伝えてくださいね。
短期間の下痢でも急いで病院に行くべき時
- 下痢以外の症状がある 元気がない、吐いている、歯ぐきが乾燥している、歯茎の色が薄い、ぐったりしている
- 下痢が止まらない 回数は何回まで大丈夫、ときっちり決まってはいませんが、半日から1日みて落ち着いて来ない場合
- 脱水していそう 歯茎が乾いているなどでチェックできます
- 薬の使用(抗生物質を服用している犬など)している場合
- 基礎疾患がある 、糖尿病、内分泌疾患、腫瘍(癌)、その他の医学的問題がある子の場合
- 年齢 パピー、高齢の子の場合
- 犬の様子がとにかくおかしい オーナーはうちの子をよく知っているので、なんかおかしいと思ったらご相談ください。
下痢の原因
下痢になる前に何をしていたか、何を食べているか、触れ合った動物や訪れた施設は?などの近日の情報がとても大事になります。長く続いている場合に、治療歴があればそれも欠かせない情報です。
- 食事(これが原因として最も多い) 下記にはありませんが、食べ過ぎでも下痢になります
- 不耐症/アレルギー
- フードの質の低下 (腐敗していた)
- 急激な食事の変化(特に子犬や子猫の場合)
- 細菌性食中毒
- 食事の不摂生
- 寄生虫(よくあるもの)
- 蠕虫
- 原虫 :ジアルジア トリトリコモナス(猫)、コクシジウム
- 感染
- ウイルス性原因 :パルボウイルス(犬、猫) コロナウイルス(イヌ、ネコ)(まれで重要ではない) ネコ白血病ウイルス(それによる二次感染を含む) ネコ免疫不全ウイルス(特にそれによる二次感染) その他の様々なウイルス(例. g., ロタウイルス、犬ジステンパーウイルス)
- 細菌によるもの (まれ) :クロストリジウム・ペルフリンゲンス (一般的で大腸下痢症で重要) ベロ毒素産生大腸菌 産生大腸菌 カンピロバクター・ジェジュニ(まれ) エルシニア・エンテロコリチカ(疑わしい) その他の様々な細菌 リケッチア感染症 鮭中毒(地域的に重要)
- その他の原因
- 異物誤食
毒物 、ゴミ箱あさりの中毒(腐敗した食品)、 化学物質、 重金属 、様々な薬剤(抗生物質、 各種薬剤(抗生物質、抗悪性腫瘍薬、駆虫薬、抗炎症薬、ジギタリス、ラクツロース) - 急性出血性下痢症候群
- 腸重積
- 急性膵炎(下痢は通常弱いもの。ただ、重篤な場合もある)
- 副腎皮質機能低下症(犬)
- 異物誤食
下痢の原因として実は感染性のものは少ないのですが、免疫が不完全なパピーや基礎疾患がある高齢の子、大人でも利用した施設で犬同士の触れ合いがあった子など、感染するような経過がある場合は疑いを持つ必要が出てきます。
また、その他の原因のように下痢の背景に病気があることもあり、状況によって適切な検査で診断した後の治療が必要になります。
簡単に治ることが多い急性の下痢でも自分で整腸剤を飲んだり痛みをとるような薬を飲む判断ができる我々ヒトと違って“うちの子”は簡単に自分を調整できません。病院では自然に治るかもしれない下痢でも、できるだけ早く苦痛を取り除けるように、食事や整腸剤でサポートできます。
気になる症状は是非ご相談くださいね。
参考 Small Animal Internal Medicine 6th Edition