前回の犬編と同様に猫も認知症になることが知られています。
過去の報告では11 〜14 歳までの猫の 3分の1の子が少なくとも認知症と認定され得る問題行動を1つ以上もち、15 歳以上の猫ではこの割合が 50 %以上に増加するそうです。
高齢の猫で多い症状ではトイレの失敗が増える、夜中に大声で泣き叫ぶなどがあります。
しかし、この行動は認知症でも起こりますが以下のような高齢になると増える病気でも起こる症状なのです。
- 変形性関節症による慢性の痛み
- 全身性高血圧(一般に慢性腎臓病または甲状腺機能亢進症によるものや特発性)
- 甲状腺機能亢進症(高血圧でなくても)という猫に多いホルモンの病気
- 脳腫瘍
これらの疾患の発生頻度は高齢の猫では少なくありません。
複数のことが同時に起こっていることもあります。
オーナーはもとより我々獣医師でさえ「通常の加齢変化」と誤解することが多いため、治療可能な症状だとしても、治療されずに放置となってしまいます。治療できることは治療してあげたいですよね。お家の方と我々の協力関係が必要です。
では、うちの子のお家での様子をチェックしてみましょう。
犬と同様DISHAA(診療紹介:認知症かも 犬)のセルフチェックは使用できますが猫は上記の高齢猫でよくある病気と認知症の区別がつきづらいので、認知症のチェックというよりは、行動異常のチェックシートがおすすめされています。
以下のものにチェックがついたら何が原因で起こっている行動変化なのか確認した方が良いとされています。
動物病院に相談してくださいね。
そして、猫の認知症も環境整備やサプリメント、栄養管理で軽減できる可能性があります。
気になる症状がありましたらご相談いただければと思います。
参考文献
- Gunn-Moore, D.et al. 2007. JSAP 48(10): 546–53.
- Gunn-Moore et al. 2011. Review Top Companion Anim Med 26(1): 17–24.