を遂行するのに大事な管理項目の一つに体温管理があります。
体温の異常には高体温も低体温もありますが、通常麻酔中に体温が問題になる時の多くが低体温です。
身体は体温が下がるとそれに対処しますが、その機構が麻酔中は鈍ることにより体温が下がります。
例えば体温が0.2度さがると交感神経が働き血管を細くするように身体が働き熱が逃げないようにするのですがこの反応が弱まります。
低体温と聞くと怖いかもしれませんが、その原因やどんな点に注意すべきかを理解して対処すれば怖いものではなく、安全に麻酔を遂行できます。
【体温が下がる要因 4要因】 関係なさそうに思われる麻酔室の壁からも影響を受けるのです。
- 伝導:直に身体に触れているもの(例 手術台や点滴)の影響
- 対流:直に身体に触れていない部屋の空気の動き、部屋の壁、換気の影響
- 蒸発:口から肺に空気を運ぶ気道から出る水蒸気や汗による影響
- 放射(放散):切っている術創から逃げる身体の熱の影響
→体温が下がるイメージ図
引用:獣医臨床麻酔学
獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠
【低体温の起こしやすさや要因】
どんな子が体温がさがりやすいのかというと
- 最初の体温が低い
- 身体が小さい
- 体脂肪が少ない
医療側の要因としては
- 麻酔時間が長くなる手術
- 血管が広がる麻酔薬の影響
- 麻酔自体の作用で身体の代謝が低下、骨格筋で熱産生が低下
- 乾燥防止や洗浄目的で臓器や傷口にかける生理食塩水や、点滴
一度体温が下がると戻すのには時間がかかるため、もとより体温が落ちないような対策をします。
【対策】やれることはたくさんあります
- 麻酔中は持続的に直腸温を測定。柔らかくて細くて負担がない体温計があります
- 体温が上がらないのを確認しながら下がる前から温め開始
- 持続的に温められるマットの上に寝かせる
- 使用する生理食塩水は温める
- 首や足の太い血管を保温する、覆う
- 手足を保温する、覆う
- 気道を加湿する
- 点滴保温機を動物の体により近いところで使用する
また、温める時には低温火傷を起こさないように細心の注意を払います
対策をしてもやむを得ず体温が落ちた場合は複温(体温を元に戻すこと)をして、基準値まで複温しなければ麻酔から覚醒(覚ますこと)とは目標体温までしっかり保温処置をします
日々安全な麻酔を行うようにスタッフ一同務め、情報共有させていただいて少しでも安心して麻酔処置を受けていただけるようになればと考えております。
ご不安なことはお気軽にご質問くださいね。
引用:獣医臨床麻酔学 獣医学教育モデル・コア・カリキュラム準拠