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フィラリアはフィラリアに感染している動物を蚊が吸血し、その蚊が他の動物を吸血することで蚊の体内にいるフィラリアが動物の体に入り感染が成立します。蚊が動物間でフィラリアを媒介しているのです。フィラリアの別名は犬糸状虫というくらいなので犬(犬をはじめとする犬科動物)に感染しやすいです。しかし、本来は猫やフェレットや多くの野生動物も感染し 、ヒトにも感染報告があります。
猫ではこれまで長い間、フィラリア感染の証拠が見つからずに猫にはあまり感染しないものだと予防は勧められてきませんでしたが、近年調査が進んでどのくらいの猫が感染している可能性があるのか、実際に亡くなった子の検死でフィラリアが血管に詰まっていたことなどがわかってきて、猫のフィラリアのリスクが取り上げられてます。
同時に、「野良ちゃんならまだしも家にいる猫ちゃんはそもそも蚊に刺されないよね」と家飼いの猫は大丈夫思われてきました。
しかし、以下のような調査や報告があります。
たくさんの猫の血液検査をしたところ10頭に1頭が抗体陽性だった。(抗体陽性とは過去にフィラリアに感染したかもしれない、あるいは感染中かもしれない)
*出典:佐伯英治:Clinic Note No.55:34,2010
感染猫の4割は室内飼いの猫だった。
*出典:ゾエティスジャパン(株)調べ
家への蚊の侵入は窓から入る以外にも外から帰って来た人にくっついて家に入ってくる経路が考えられているそうです。
では、なぜこれまでに猫での感染の証拠が見つからなかったのか。
1、フィラリアは猫の体では住みにくくフィラリアが多量に寄生できないので感染していても検査で感染が出にくい。一般的な抗原検査は成虫の雌のタンパクを検出するものであるため、雌がいないと検出できない。
2、猫の体は小さく多量のフィラリアが心臓に寄生することがないため分かりやすい犬のような典型的な症状がでない。
3、突然死を起こすことがあるが、死後剖検されること自体が少ない。また実施されたとしても原因となった感染虫体が消滅し見つからない可能性がある。
【症状】
どんな症状を起こすのか。
症状はフィラリアが猫の体入った時、その4ヶ月後以降経過しフィラリアが大きくなった時の2ポイントで起こる症状です。
1、蚊に刺されてフィラリア幼虫が猫に入ると猫の体は犬より強い免疫反応を起こし炎症を起こします。その反応による症状で咳や呼吸が早くなる等、猫喘息にも似た症状を起こします。また、同時期に嘔吐や食欲不振を起こすこともありますが、他の疾患でも起こり得る症状のためフィラリア症を疑うのは難しいです。そして、この時に体がフィラリアをうまく排除できたら症状は落ちつくこともあります。
2、1の後は10%より低い確率でフィラリアが生き残ってしまうことがあります。初期に出た症状は消えていたとしても、4ヶ月くらいすると1〜2隻のフィラリアが成長して細長い成虫になり肺の血管に入り込みます。猫の血管は細いので簡単に血管で閉塞を起こして猫が突然死します。猫に寄生したフィラリアは犬に寄生するフィラリアより寿命が短いため、犬のように数年かけて徐々に症状が出てくるというわけではありません。
犬はフィラリアが住むのに適した体で寄生(体の中に住んだ)したまま犬が長く生きるメカニズムになっています。寄生されている側が死ぬと寄生する側が困るというメカニズムです。
まとめ
猫にフィラリアが感染しても症状が出ないことは多いらしい。出たとしても一時的である可能性があり、その症状も他の病気と間違えちゃう症状。
しかも検査をしても感染しているかはっきりしないこともある。
でも、万が一感染してフィラリアが生き残ったらなすすべがなく突然死を起こすリスクがある。
これらのことから、若い時からフィラリアを予防することを勧めます
予防薬は
猫ちゃんはスポットの垂らすタイプが豊富です。
東京は5月から12月までがフィラリアの予防期間(蚊の中にいるフィラリアが成長する温度の時期)なのでその間予防しますが、完全予防を目指すなら年中予防をお勧めしております。お腹の虫やノミダニの退治もできます。
また、月に1回の薬の他に1回つけたら3ヶ月効果が持続するタイプでフィラリア予防の効能が追加されました!
3回の塗布で予防シーズンをカバーできます。1ヶ月ごとあるいは3ヶ月ごとのペースで爪切りのついでに病院でつけていかれる方がいます。逆に3ヶ月ごとだと忘れてしまう方は月に1回お家でつけるのもいいですね。
病院ではご希望の方にLINEでつけ忘れお知らせサービスも行っています。
犬の場合は予防薬投与前に感染の有無をみる血液検査が必須です。
感染初期は症状がないため外から見ても元気ですが、すでにフィラリアに感染してしまっている場合に予防薬でショックを起こしてしまうからです。成虫フィラリアはミクロフィラリアをたくさん産みます。通常はこれを駆除するのが予防薬ですが、成虫フィラリアに感染すると蚊にさされて入るより大量にミクロフィラリアがいる状態になります。それが予防薬で一気に死滅して犬自体がショックを起こし悪くすると亡くなってしまいます。
一方、猫ではもし感染していたとしても少量寄生のためミクロフィラリアが大量にいる可能性が極めて低いことや、検査で陰性とはっきり言えないため検査は必須とされていません。
では検査自体が無駄かというと、以下のように複数の検査を組み合わせるとより診断できる可能性が高まります。
猫のフィラリア検査について
血液検査
抗原検査: フィラリアの雌を検出する検査のため、雌がいたら陽性になることも。
ただ、この検査は精度が低くく陰性でも完全否定はできません。
抗体検査: 感染した時に猫の免疫でフィラリアへの抗体が出来たかを見る検査です。
過去に感染した場合も抗体陽性になります。
抗原検査よりは感度は高いものの、陰性でも感染の完全否定はできません。
心エコー検査:心臓内に虫がいるかわかる検査ですが、犬と違い猫ではフィラリアが心臓に寄生する確率は
低いこと、また、時間帯で虫がいる場所が違う可能性も言われています。
以上のことから心エコーでフィラリアがいなくてもフィラリア陰性とは言い切れません。