発作

発作とは症状が急に始まり間もなくおさまること。
”発作”という言葉は色々な症状のことを指してしまうため、診察では症状を詳しくお伺いします。
実際に”発作”というとほとんどのケースで神経心血管系(循環器)由来の症状のことを指しています。
(たまに急に出た咳を発作とおっしゃる方もいます。突然出て治る咳なので発作で合っていますね。)

昔、大学病院の循環器科で研修していた時は、発作が出た患者様が神経の症状なのか、循環器関連の症状なのかを判別つけるために大学にたくさん紹介でいらっしゃっており、診断が難しい時は神経科の先生と協力して診断することもありました。
他にも代謝性疾患といって内科関連のこともあります。

発作は意識がなくなりグッタリして力がない様子、体が硬くなり伸びてしまう(硬直)、手足をバタバタとさせる(遊泳)などバリエーションがあります。

どのような症状だったか、どんな時に起こったか、どのくらい続いたか、起こる前にきっかけはあったか、起きた後の様子は?など大事なポイントを伺うと少しだけどちらの関連症状なのか目処をつける事ができ、そこから必要な検査や状況把握をして治療につなげます。

発作が繰り返し起こるのか、頻度も大事です。検査をしてすぐに原因が分かる場合もありますが、発作の頻度を見極めて次の検査をご提案することも出てきます。

循環器関連の発作は”失神”といいます。血液がうまく頭に送れずに意識がなくなります。
失神を起こす循環器系の病気

  • 心臓病が悪化し血液を送れない 原因には進行した僧帽弁弁閉鎖不全症が多いです。画像検査でわかります。
  • 不整脈が突発的に出て心臓がうまく動かず血液が頭に送れない 不整脈には心臓の拍動がゆっくりになる、あるいは一時的に止まるタイプ。極端に早いリズムの不整脈も症状を起こします。不整脈の原因に心臓病がある場合、ない場合のどちらもあります。
  • 心臓や血管の周囲に異常がでて心臓がうまく動かなくなり血液を送れない 心膜の病気や腫瘍があります
  • 肺血管の血圧が上昇する肺高血圧という病気 運動や興奮時に失神が起こります
  • 咳や嘔吐、嚥下などなんらかの状況がきっかけで失神を起こす反射性失神(神経調節性失神) 心臓病が根底にあることも


神経関連の発作は”けいれん”といいます。意識や運動や神経や感覚、認識異常を一時的に起こす神経異常です。原因は様々ですが、大脳というところの異常による症状です。

どちらも起こると急で怖い症状で、冷静に症状を見るのは難しいかもしれませんし、動画を撮る余裕はないものですが、スマホなどで撮った動画があると診断に近くことがあります。

初めて起きた時にご自宅でできることは残念ながらあまりありませんが、
頭を打たないように支えてあげたり頭の下にタオルを置いてあげるようにしてください。

起きてしまった時はかかりつけの病院や救急病院にまず連絡してください。
治った後元気にしていても連絡して指示を仰ぎましょう。

ご不明点があれば気軽にお問い合わせしてくださいね。


この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。