今年の2月に発売され大きな反響があった猫の変形性関節症の慢性痛を緩和する注射治療薬に続き、犬の変形性関節症の治療薬も発売されました。海外では先に発売されており既に色々な報告されてきています。
セミナーで教えていただいたことも含めてこちらでご紹介いたします。
この新薬何がすごいかというと、近年医療でも注目されている抗体医薬品という種類のお薬に分類され、もともと生体にある免疫システムを利用した治療薬になります。
抗体医薬品の特徴は
- 目的に対しピンポイントで効果を示すため副作用が少なく効果が高い。 これが最大の特徴です。
- 薬の排泄(体から抜けること)が通常の薬と違って腎臓や肝臓でされるのではなく、体の他の抗体と同様にアミノ酸に分解されて排泄されるので肝臓や腎臓が悪くても使用できる。 薬を使用できる子に制限がなくて嬉しいです。今までの痛み止めは腎臓が悪く痛みの治療ができないこともあり、このお薬があの時使えたらと過去に通っていた子たちを思い出しました。
- 1回の投与で長期間効果が持続する。 毎日飲み続けなくていいメリットがあります。
- タンパクでできてるのでアレルギーが起こることがある。これはデメリットです。
- 高価なことが多い これもデメリットです。
では、慢性痛を起こす変形性関節症とは珍しい病気なのでしょうか?
主に加齢や肥満で関節が痛くなる慢性疼痛の中でも最も患者さんが多い疾患です。
人も肥満や加齢で膝が痛いという言葉を耳にしますよね。犬も猫も同様です。その他に、遺伝や運動のしすぎ、外傷などもきっかけになるそうです。
人と違って痛みを言葉で訴えられないので、飼い主さんに気がついてもらう必要があります。高齢になるとそもそも動きが減るので気がつかずに痛みを抱えている子が多いと言われています。
猫では6歳で6割、12歳で9割以上の子が変形性関節症になっているという報告もあり、痛い場所で一番多いのは手首で肘と膝が次に多い部位です。
猫はあまりお散歩をしないので、症状に気がつきにくいとされ、行動のチェックシートが作られています。
これが1つでも当てはまれば変形性関節症の疑いがありだそうです。
治療薬の効き目は1回目の投与で7割の猫ちゃんの行動に改善があり、2回目の投与では8割の猫で改善があったそうです。
犬の変形性関節症も猫と同様に加齢や肥満、激しい運動で関節が悪くなることが原因です。また、膝の病気がきっかけで痛みが続くこともあります。股関節、肘や肘は大型犬で発生率が高く、膝蓋骨内包脱臼という膝の病気は小型犬で発症率が高い原因になります。これまでの痛み止めの薬より良いと感じた患者様が6割以上だったそうです。
おうちの子の動き改めて見てあげてくださいね。