比較的遭遇しやすい耳の疾患といえば、外耳炎です。この外耳炎はさまざまな要因が重なって起こるとされていますが、その要因ごとに分けて外耳炎を考える分類方法を「PSPP分類」と言います。
外耳炎を「PSPP」分類で要因ごとに分類することによって、適切な診断・治療を行うことができます。
前回は「憎悪因:Perpetuating factors」についてお話ししましたが、今回は「素因:Predisposing factors」についてご紹介していこうと思います。
【PSPP分類】
主因 Primary causes
副因 Secondary causes
憎悪因 Perpetuating factors
素因 Predisposing factors
この主因、副因、憎悪因、素因の頭文字をとって、PSPP分類と呼んでいます。
【素因 Predisposing factors】
素因とは、外耳炎が起こる前から存在し、外耳炎の発症リスクを増加させる因子のことです。ただし、この素因があるからといって、素因単独で外耳炎が発症するわけではありません。
耳の形態的問題 | 耳毛過多、垂れ耳、細い耳道 |
湿性環境 | 高温多湿、水の侵入 |
閉塞性病変 | ポリープ、腫瘍、猫のアポクリン嚢胞腺腫 |
原発性中耳炎 | |
全身性疾患 | 免疫抑制状態、衰弱 |
他の治療の影響 | 抗菌薬による常在細菌叢の変化、過度な洗浄処置などによる外傷 |
耳毛が多い子や垂れ耳の犬種、フレブルさんなどの元々細い耳道を持つ子たちは、確かに外耳炎が多い印象があります。
ただし、あくまでこれらは外耳炎の素因であるため、最初に紹介した主因が重なることで、外耳炎が発症しやすくなります。
PSPP分類についてご紹介していきましたが、いかがだったでしょうか。外耳炎と言っても、実は様々な要因が絡んで発症していることがお分かりになったでしょうか。
外耳炎は比較的遭遇しやすい疾患ではありますが、放っておくとなかなか治りづらい疾患でもあります。耳からいつもと違う臭いを感じたり、耳を痒がる素振りが見られたら、早めに動物病院へご相談くださいね。
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