家庭にある玉ねぎはとても有名な中毒物質になりましたが、今だに誤食物のトップ5以内に入るほど誤食してしまうことが多い食べ物です。
玉ねぎは犬猫ともに中毒を起こします。
今回は、玉ねぎを食べてはいけない理由や治療についておさらいします。
中毒物質
タマネギは火を入れない生、加熱調理済み、冷凍、どのタイプであっても中毒を起こします。
また、玉ねぎ自体、球根、葉、汁、加工粉末を含めて犬猫にとって全ての部分が有毒です。
この中毒物は有機チオ硫酸化合物であるN-プロピルジスルフィドという成分でこれは赤血球を酸化させ(ダメージを与え)、赤血球の膜を壊しやすくして溶血という現象を起こします。赤血球が溶血すると貧血が起こり、尿は赤色または茶色への変化が起こります。貧血になると、体の臓器への酸素供給もへります。重症の場合は臓器傷害に落ちいり死に至ることがあります。
たまねぎだけではなくネギ科全部に中毒
青ネギとチャイブ(Allium schoenoprasum)も玉ねぎと同様アリウム属の植物で、犬猫にとって有毒です。ニラ、ニンニクなど、タマネギ科はすべてアリウム属の植物なのですべて中毒を起こします。
中毒量
体重の 0.5% を超える量のタマネギを摂取すると、タマネギ中毒が起こるとされます。お家の子が大量のタマネギを食べてしまうと、高確率で命にかかわることがあります。危険なタマネギの量は、体重といくつかの要因があります。体重と関係がないというデータもあります。
タマネギ中毒にかかりやすいケース
- 日本犬種 秋田犬・柴犬など
- 糖尿病・肝臓病 貧血などの併発疾患のある犬猫
中サイズの玉ねぎ1個 = みじん切りにした玉ねぎ1カップ = 玉ねぎパウダー大さじ1杯(または小さじ3杯)
タマネギ中毒の症状
タマネギ中毒は初期に消化器症状が出る場合と、すぐに症状が出ない場合もあります。48時間以内くらいには出るとされますが数日間はご様子はもちろんのこと、口粘膜の色、歯茎の色、尿の色の観察が必要です。
- 嘔吐
- 食欲不審
- 腹痛
- 歯茎が青白い
- 元気消失/無気力
- 運動不耐性
- 赤色または茶色の尿
- 呼吸数の増加
- 心拍数の増加
誤食してしまった場合
犬がタマネギを食べてしまった場合、まず最初にすべきことは、タマネギまたはタマネギを含む製品をどれくらい摂取したかを確認する。食べてしまった他の成分も確認する。(脂肪分が高い、塩分が高いなど身体への影響を推察するヒントになります。)食事を与えないで動物病院に連れていく。
診断
タマネギ中毒の診断は、通常、病歴、臨床症状、血液スメア(血液を薄く伸ばしてガラスに塗布し染色したもの)の顕微鏡検査を組み合わせて行われます。タマネギに含まれる中毒物は、ハインツ小体と呼ばれる赤血球に構造的な損傷を引き起こしてそれは顕微鏡で確認できます。
治療
解毒剤はありません。一般的には誤食後 2 時間以内であれば吐かせる処置(催吐処置)で玉ねぎを吐かせることができ、中毒物をある程度排出できる可能性があります。重症の場合は、入院して点滴や輸血が必要になります。
ほとんどの犬は、軽度のタマネギ摂取では回復し、長期的な合併症は起こりません。しかし、重度のタマネギ中毒は、特に治療をしない場合は、致死的になることがあります。
まとめ
誤飲・誤食は予防が重要です。
- まず、お家の子にタマネギやタマネギやタマネギ粉末を含む食品を食べさせない。
- 食べた場合は何も食べさせずに元気そうでも動物病院に相談する。
- 治療後も2−3日はしっかりご様子をみる。
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