外耳炎 3


お家で比較的発見しやすく動物病院でも遭遇しやすい耳の疾患といえば、外耳炎です。この外耳炎はさまざまな要因が重なって起こるとされていますが、その要因ごとに分けて外耳炎を考える分類方法を「PSPP分類」と言います。
今回は外耳炎の分類(PSPP分類)の3回目です。

外耳炎を「PSPP」分類で要因ごとに分類することによって、適切な診断・治療を行うことができます。

 前回は「副因:Secondary causes」についてお話ししましたが、今回は「憎悪因:Perpetuating  factors」についてご紹介していこうと思います。

【PSPP分類】

主因       Primary causes

副因       Secondary causes

憎悪因   Perpetuating factors

素因       Predisposing factors

この主因、副因、憎悪因、素因の頭文字をとって、PSPP分類と呼んでいます。

【憎悪因 Perpetuating factors】

 憎悪因とは、外耳炎が起こった後に生じ、外耳炎を重症化させる因子のことです。この憎悪因が慢性になればなるほど外耳炎は重症化してしまいます。

耳道上皮の変化耳垢過多、上皮移動障害
耳道の変化浮腫、増殖性変化、狭窄
鼓膜の変化肥厚、拡張、憩室、破綻
分泌腺の変化アポクリン腺閉塞・拡張、汗腺炎、脂腺過形成
耳道周囲軟骨組織の変化石灰化
中耳の変化耳垢充満、中耳炎、骨髄炎

 憎悪因があると外耳炎が継続してしまい、正常な耳道構造が二次的に変化し、より外耳炎を治りづらくします。特に、耳道周囲の軟骨組織が石灰化してしまうと、耳道がガチガチに硬くなり、正常な耳道に戻すことが困難になってしまいます。耳道も狭くなり外耳炎が継続しやすい耳になり悪循環となります。

 外耳炎はお家でも比較的見つけやすくはありますが、放っておくとなかなか治りづらい疾患でもあります。
耳が臭う、耳を痒がる、気にする素振りが見られたら、早めに動物病院へご相談くださいね。

 次回は、PSPP分類最後の「素因」についてご紹介していきます。


当院は早朝7時から(日曜・祝日は9時〜)完全予約制で診療を行なっている渋谷区代々木上原、代々木公園に近い動物病院です。
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この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。