以前は誤食シリーズでブドウ・レーズンをご紹介しました。
当院の診察では、この3ヶ月以下の異物が多くありました。
1.フロアマット
2.観葉植物
3.ヒト用のお菓子
ただ、これらと並ぶくらい多い誤食物(異物)にペット用おもちゃがあります。
犬も猫もお家の子は夢中で遊んでいるうちに、ぬいぐるみやボールを破壊して、そのまま食べてしまうケースがあります。転がして遊ぶおもちゃをそのまま丸呑みするケースも。
プラスチックの製、布製、おもちゃに付属しているヒモやリボンのようなものなどが対象になります。
【リスク】
食道梗塞・消化管閉塞・消化管穿孔・消化管潰瘍
端的には、異物が消化管を傷つける、細いところで詰まってしまうなどになります。
これらはほぼ症状がでますが、一時的に対症療法で治ってしまい治療が遅れることもあります。
消化管に物が一定時間停滞すると消化管は壊死を起こし、そこは破れてしまいます。また、尖ったものであれば詰まる前に消化管を破ってしまいます。
破れたところから消化物が漏れだしお腹の中では細菌感染が起こります。
細菌性腹膜炎で数日以内に死に至ります。診断や治療が少しでも遅れると手術をしても間に合いこともあります。
おもちゃの一部を食べた場合、基本的には消化されないものですので、上記のようなことがリスクになりますが、必ずしも手術が必要ではなく、他の経過を辿ることがあります。
吐いて口から出るあるいは、便と一緒に排泄されるなどの他にどのようなパターンがあるでしょうか。
- 異物をそのまま吐く:異物と身体が感じてそのまま吐いてしまう場合は、ある意味では運がいいと言えるでしょう。
- 便と一緒に排泄される:口から入ったものが全部排泄できるわけではなく、便と一緒に出るものはそれなりに小さい必要があります。食道、胃、十二指腸、小腸、大腸をスムーズに流れる大きさである必要があります。どのようなものが流れてどのようなものが流れないで閉塞(詰まってしまうのか)は、動物とその異物の大きさによります。
- 症状が何も出ない:
・本当は食べていない。(おうちの子が異物を呑み込むところを目視していない場合にこのようなケースはあります)
・胃に停留している。胃は大きな袋状です。胃の出口の幽門は十二指腸に接続しています。胃から流れ出るものはある程度小さい必要があります。大きいものは流れないので胃の中に停滞します。ここで異物を嘔吐する場合もありますが、吐くこともせずに胃の中に何ヶ月も存在していた経験があります。
【中毒成分】
ほとんどの布やプラスチックものは、消化管で吸収されることはないので、中毒成分はありません。もし、金属が含まれていたら金属中毒を起こす可能性がでてきます。
【検査】
胃内容を把握すること、安全に吐かせるためにX線検査を実施します。食べたかどうかわからない場合はエコー検査も追加して胃内に異物がありそうか確認することもあります。しかし、おもちゃの素材のほとんどの異物は画像検査での検出率は高くないため、食べた可能性が高い場合は予防的治療を行います。
【治療(予防的)】
まずは、催吐処置を行います。一次的に気持ち悪くなる吐かせるお薬は、注射や点眼液を使用して行います。
吐いたけど異物が出ない場合、そもそも、お薬で悪心が出ずに吐いてくれない場合もあります。
異物の大きさや形状によってその後の対応は変わりますのでその都度ご相談いたします。
【対策】
- おもちゃは人が見ている状況下で与える。なるべく一緒に遊ぶ。
- 少しでもやぶれたり壊れた場合はそのおもちゃはやめる。
- 保管場所にも注意する。大好きなおもちゃなので勝手に取り出して遊んでしまうことがあります。
異物誤食は小さなものでも自己判断しないで動物病院に相談しましょう。
当院は早朝7時から(日曜祝日は9時〜)完全予約制で診療を行なっています。
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