WASAVAのワクチンガイドラインをもとに当院での推奨も交えてご紹介します。
ワクチンの目的については前回の犬ワクチンのページで紹介しましたが、個々が感染症に対する免疫をつけることと、集団免疫をつけるという目的があります。集団免疫によって医学的に集団の7割以上がある感染症への免疫を獲得していれば、その集団はその感染症が発症したとしてもその蔓延が防げます。
ワクチンにはコアワクチン、ノンコアワクチン、非推奨ワクチンがあります。コアワクチンは、住む地域や生活様式にかかわらず、すべての犬と猫が接種するべきワクチンを指し、ノンコアワクチンはその疾患が存在していない地域、感染リスクが非常に低い犬や猫は接種しなくてもよいとされるワクチンです。
日本でのコアワクチンは罹患率(感染する率)や死亡率が高くワクチンで防御できることがわかっているウイルスに対するワクチンで接種が推奨され、ガイドライン上、猫のコアワクチンは猫汎白血球減少症ウイルス(FPV)、猫カリシウイルス(FCV)および猫ヘルペスウイルスI型(FHV-I)です。
ただ、この3つのウイルスのワクチンのうちFCVおよび FHV-1 などの上部気道感染、いわゆる猫風邪を引き起こすウイルスに対しての防御反応が弱いとされ、感染を防御できるFHV-1 ワクチンはなく、また感染した強毒ウイルスは猫の体内に潜伏し、強いストレスがかかった期間に再び活性化する可能性があるのです。しかし、ワクチンを打つことにより発症した際に重症化しないなどのメリットはあるとされます。
また、FPVは致死率が高いウイルスです。こちらはワクチンでしっかり防御できます。
FHV-1 および FCV に対するリスクが低い猫については3 年に 1回 の ワ ク チ ン 再 接 種 、リスクが高い猫については1年に1度接種することが推奨されております。
リスクが低い猫は室内で 1 頭飼いされており、ペットホテルを利用しない猫として定義され、リスクが高い猫は、定期的にペットホテルを利用する猫、または多頭飼育で室内と屋外を行きすることがある場合の猫になります。
また、風邪のウイルルス(FHV-1 および FCV )に対しては接種後3ヶ月で強固になるためリスクが高い猫は接種時期を検討した方がいいでしょう。
また、新しく子猫を飼育される場合も動物病院に相談した方がいいでしょう。
加えて、血液検査でワクチンの抗体価を測定する方法もあります。特にFPVに関しては測定の意義が高いため接種を先延ばしにする場合は検討するのもひとつの選択肢になります。
幼少期のワクチンプログラムはどの子も共通です。
母乳を飲んだ子犬は母から移行抗体をもらい短期間では免疫を獲得していますが徐々にきれてくるため、初回ワクチン接種は 3 ~ 4 週間ごとに、コアワクチンを含む混合ワクチンを接種することが推奨されています。生後8週目にはじまり最後の追加接種は生後16週目以降に接種します。このワクチン 間隔は短くても長すぎてもよくありません。
猫のワクチンは当院ではピュアバックス3種ワクチンのみを使用しております。
理由は今推奨されるアジュバント(※)というワクチンの効果をあげる添加物が入っていないこと。
ワクチンの溶解液少ないこと(接種する液体が少なくてすみます。)
などの理由になりメリットがあります。
ワクチンを幼少期までしか接種していない子や、成猫になって接種を悩んでいる方は一度ご相談くださいね。
その子によってベストが違いますので状況をお伺いしてベストをご提案させていただきます。
※アジュバント無添加のメリットとワクチン関連肉腫について
猫のワクチン関連肉腫という悪性腫瘍の発生が増加しました。特にアジュバントを含むワクチンや、 FeLVウイルスに対するワクチン、狂犬病のワクチン接種に関連しているとされています。ワクチン関連肉腫はいわゆる線維肉腫という浸潤度が高い腫瘍で、肩甲骨の間にできる増え、ワクチンの接種に関連が示唆されました。発生率は猫 5000 ~12500 頭当たり 1 件とされています。それでも医学的にはワクチンを接種する必要性があるとされており(幼少期のプログラムと成猫の追加接種には必要性の違いがあります)その腫瘍が形成されないように、万が一できてしまっても腫瘍を治療しやすいように、アジュバンド無添加のワクチンを推奨、接種部位を毎回変えること、背中ではなく足に接種すること(万が一腫瘍ができてしまってもできものを切除しやすい部位に接種するということになります。)などが提唱されています。
当院は早朝7時から(日曜祝日は9時〜)完全予約制で診療を行なっています。夜間に体調を崩して朝も治っていない場合、すぐ対応できます。(緊急時はすぐにお電話ください。ウェブで予約枠が埋まっている場合も一度お電話でご相談ください。)