「あれ?うちの子こんなに毛が薄かったっけ?」「なんだか禿げてきた?!」というように、オーナー様が日常生活で気づきやすいのが「脱毛症」です。
脱毛症にはさまざまな原因があるため、原因をしっかりと見極めることが重要です。
今回は、ポメ禿げ(はげ)とも称される、「脱毛症X(犬の毛周期停止)」(alopecia X)についてご紹介します。
【脱毛症X(犬の毛周期停止)】
脱毛症Xは、犬の毛周期停止とも呼ばれます。なぜ脱毛してしまうのかは原因不明とされていますが、ポメラニアンやトイプードルのような、特定の品種に好発します。発症は1〜10歳と幅広く、内分泌疾患とよく似た脱毛が特徴です。
【症状】
左右対称性の内分泌疾患とよく似た脱毛で、頸部(首)、大腿部(ふともも)、尾部(しっぽ)の脱毛から始まり、最終的に頭部や四肢以外の脱毛へと進行します。また、被毛の質も低下します。
外傷や、皮膚生検を実施した部位に発毛が見られるのも特徴です。
出典:Steve Stoll et al. Vet Dermatol 2015
【診断】
診断は、犬種や臨床症状から推察し、内分泌疾患の除外(血液検査で除外できます)をします。皮膚生検や、生検後の被毛再生を確認することでも、脱毛症Xを診断できます。
【治療】
脱毛症Xに対する治療法は、今まで様々なものが検討されており、実際に育毛も期待できるのですが、どれも再燃しやすいのが特徴です。
治療法としては、メラトニン製剤やホルモン製剤、未去勢オスでは精巣摘出術でも育毛が期待できます。外傷後に発毛することから、マイクロニードルといった、皮膚に細かい傷をつけて育毛を促進する方法もあります。
その他の非炎症性脱毛症と同じように、サプリメントやフードで発毛が期待されるものもあります。
薄毛や脱毛症でお困りの際は、ぜひ一度ご相談くださいね。
当院は早朝7時から(日曜祝日は9時〜)完全予約制で診療を行なっています。(緊急時はすぐにお電話ください)