除去食試験に使用されるフード

食物アレルギーの診断と治療に欠かせないのが、除去食試験です。除去食試験とは、今まで食べたことがない食材で構成されたフードを選び、そのフードを8週間継続し、皮膚症状や消化器症状が改善するかチェックする試験です。

この除去食試験で使用するフードには、新奇タンパク食、加水分解食、手作り食の大きく分けて3種類あります。

【新奇タンパク食】

 新奇タンパク食というのは、一般的なフードに入っていないタンパク質(豚や鳥、牛などではないもの)を原材料に選んでいるため、除去食試験に使いやすいものが多いです。最近ではニシンとサツマイモでできたフードや、小麦とタピオカでできたフードなどもあります。ただし、特に猫ですが、既存の新規蛋白食だけではなかなか使える食材が限られるため、そこがデメリットと言えるでしょう。

写真は療法食の一部です。

【加水分解食】

加水分解食というのは、タンパク質の分子を限りなく小さくし、1型アレルギーを起こしづらくしたフードです。これは動物病院専売の療法食として、各メーカーから販売されています。
ただし、犬猫の食物アレルギーは1型アレルギーだけでなく、4型アレルギーの関与もあるため、全てのアレルギーで有効というわけではありません。

【手作り食】

 手作り食は既成のフードを食べなられない場合や、選べる原材料のフードがない場合(アレルギー物質が多いなど)に使えますが、完全手作り食というのは、栄養バランスを調整するのがかなり大変です。
そのため、あくまで除去食試験のために使用し、その後アレルゲンが判明したら総合栄養食へ切り替えていく方が良いでしょう。

このように、完全な除去食試験用のフードというものはありません。そのため、一度の除去食試験で食物アレルギーの診断がつかないことも多々あります。

必ず獣医師と相談しながら、進めていくようにしてくださいね。

味の好みに好き嫌いがあっても各社が色々なフードを出しているので、その子が好きな味か、食べられるかチェックするサンプルもお渡しできます。

 食物アレルギーや除去食試験でお悩みの方は、ぜひ一度ご相談ください。

この記事を書いた人

獣医皮膚科認定医 門岡友子

この度「めぐり動物病院 元代々木」にて皮膚科専門診療を任されることとなりました。
皮膚疾患は動物病院への来院理由でも常にトップ3に入る疾患です。
また、アレルギーや感染症、免疫介在性疾患、腫瘍など、原因が多岐に渡るのも皮膚疾患の特徴です。
そのため、皮膚疾患の原因を一つ一つ丁寧に紐解き適切な診断を行い、ご家族に寄り添った治療を提案してまいります。
ワンちゃんネコちゃんの皮膚疾患にお困りの方は、ぜひ一度お気軽にご相談ください。

経歴
・麻布大学獣医学部 卒業
・Vet Derm Tokyo 皮膚科第1期研修医
・ヤマザキ動物看護専門職短期大学 非常勤講師
・日本小動物ケースベースド情報ネットワーク(JCABIN)皮膚科担当講師