犬のリラックスフェロモン

日本で新発売されました。
猫ではすでにあったフェロモン製剤フェリウェイ®️”。猫がウキウキするフェロモンと言われています。
慣れないお出かけ、病院への通院、引越しや不適切なマーキングをしてしまう子など様々なところで使われてきました。世界中で販売されて何年もたち、何度か、フェリウェイの効果かな?と思う場面があって信頼しています。



当院は猫の来院前に噴霧したり、拡散期で充満させています。人には香りがわかならいとされています。

今回、ついに犬のフェロモン製剤アダプティル®️”が日本で新発売になりました。

アダプティル®️は、母犬が子犬たちを落ち着かせるために乳房の周りから発するフェロモン(アピージングフェロモン)の類縁化合物を成分とする製品で、環境の変化などストレス下にある犬に使うことができます。

アダプティル®️は用途に合わせてスプレー、専用拡散器、首につけるカラー(首輪)タイプがあります。


本製品は2000年に世界中ですでに販売されており、数多くの公表された論文やレビューがあり、世界中の獣医師、飼い主様に愛用され続けており、研究報告もあります。

ある研究報告では母犬と子犬の相互関係を良くしたという報告があります。
アダプティルを使用した母犬は子供の授乳の際にしっかり横になった体勢で与え続けたのに対し、対称群(使ってない群)は立ったまま授乳したり、成長とともに子犬に拒否反応を示す、唸るなどの行動をしていくようになったそうです。アダプティルを使用した母犬は子犬がお乳を飲もうとする時に穏やかになったり、子犬は放っておいても鳴かなかった、子犬間の仲も調和が取れたなどの差があり、離乳期に良い影響を与えたそうです。

また、あるイギリスの報告では、犬と猫両方を飼っているものの、両者の関係が良くないとオーナーが思っている家庭で、フェリウェイ®︎とアダプティル®️の両方を使い行動を6週間観察しました。
その結果2週目から6週目の間に、アダプティル®️を受けた犬の半分とフェリウェイ®️を受けた猫の3割で望ましくない行動がスコアの半分以上の減少がありました。また、犬と猫の7割で望ましくない行動の3割以上の減少がありました。
また、アダプティル®️を受けた3.5割の犬とフェリウェイ®️を受けた5割近くが望ましい相互作用を示す行動スコアが5割以上増加し、望ましい相互関係の行動スコアの3割以上の増加が半数であったそうです。

良い行動の増加や良くない行動の減少は、例えば

  • 猫と犬が鼻を触っているのを何度か見た。今までなかった。
  • 猫と犬はいつも同じ部屋で夕方リラックスしていましたが、歴史的に猫は常にキャットタワーに登っていたが、ディフューザーの使用後は定期的に犬に近いソファの端に座るようになりました。
  • 犬と猫の関係に直接関係しない行動の変化も報告され、犬が散歩中に穏やかになった。
  • 犬が猫を追いかける/猫が逃げるが減った。
  • 猫が犬から隠れている行動が減った。
  • 猫と犬が相手を見つめる行動が増えた。
  • そして犬が猫に向かって吠える行動が減った。

使い始めて効果を感じたオーナーが多かったそうです。


このフェロモン製剤はパピーから高齢の子まで年齢制限なく副作用などもなく使えるのはメリットだと思います。

先日、当院の患者様で慣れない車での移動中にケージの中で吠え続けてしまって翌日お腹を壊してしまったパピーの子の治療をしました。車に乗る事は少しずつ慣れてくれると思いますが、事前にこのフェロモン製剤をブランケットやキャリーに噴霧しておくだけで不安が緩和しハッピーな気持ちになってくれるのであれば、使わない手はないかなとお勧めしました。


通院の際に怖がってないように見えてもストレスを感じている子は多いと思っていますので、病院でも積極的に使っていこうと考えています。

気になる方はお問い合わせくださいね。

この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。