- 何度もトイレに行って尿をする体勢をとります
- 辛そうな声で鳴く
- トイレではないところで尿をするようになった
これらの症状は犬も猫も尿路系の病気、特に下部尿路疾患を疑う症状になります。(排泄障害を起こす他疾患や問題行動などの場合もあります。)
元気や食欲は普通にある場合もあれば、元気がなく食欲がなくなってしまう子もいます。
たくさんある泌尿器の病気のなかでご家族も獣医師も困ることが多い
猫の繰り返す膀胱炎ー特発性膀胱炎について
膀胱炎の原因は様々ですが、猫に関してはとても他の動物(人や犬)と全く違う原因が多いです。
【猫の下部尿路疾患(FLUTD)の原因】
1位 特発性膀胱炎 6-7割 (報告によっては5割くらいなものの最も多い原因)
2位 尿石症 2割
3位 細菌性膀胱炎 1割
4位 その他
膀胱炎というと抗生剤で細菌をやっつけたら治るのかな?と思いきや、猫では、細菌性膀胱炎になる子は1割程度しかいません。
ほとんどが特発性膀胱炎です。特発性膀胱炎とは、原因不明の膀胱炎のことです。
この疾患は本当に厄介です。
原因が多くの場合特定できず、治療も難しい。と思ったら自然に治ることもあります。ただ、大抵繰り返します。
では、特発性膀胱炎で現段階でわかっていること
- 診断には、他の病気(主に腫瘍、結石、細菌感染など)を除外する必要がある
- 循環器、消化管、内分泌、皮膚、神経などの免疫異常が原因のこともある
- 環境改善やストレス改善で症状が良くなることもある
- 膀胱粘膜の異常がある子もいる
- 最終的に原因がわからないことも
【特発性膀胱炎にかかりやすい子】
- 若〜中齢
- 肥満
- 室内飼育
- 神経質やシャイな性格
- その子が安心できる場所がない、少ない
【診断】
画像検査、尿検査(場合によっては尿培養)で他の疾患を除外します。
- 炎症があること
- 感染がないこと
- 腫瘍がないこと
- 結石がないこと
【治療】 原因がわからないので治療は難しいですが
- 痛みの軽減
- 環境改善
- トイレを増やす(猫の数+1)
- よく遊んであげる
- 外の騒音や他の猫の声など改善できるものは改善する
- 食事 尿石用のフード(Hills)で再発率が低下した報告があり
特発性膀胱炎の対応として作られたサプリメントも多数あります。中には飲むことで症状の改善につながったような子もいましたがまだエビデンスはなく、治療法が確立していないこの病気。
トイレではないところで尿をしてしまう症状に関してはご家族も病気と気がつかないことも多いです。
普段からフードの量、排泄の様子、しっかり観察して早めに異常に気がついてあげたいですね。
気になることがあればお気軽にご相談くださいね。
参考:
John M Kruger. et al 2015 Sep 1;247(5):508-17.JAVMA
猫特発性膀胱炎Review JVIM 2011