中毒 誤飲・誤食 犬

有害(有毒)物質を摂取してしまった時におこる中毒。人にとっては毒でないものも犬にとっては毒のこともあります。

犬は猫に比べ圧倒的に誤食・誤飲が多いです。


アメリカのミネアポリスに本拠を置く24時間365日全国的に動物毒管理を行っているPet Poison Helplineのデータによると、犬の中毒のトップ5(2023年)は次のとおりです。

  • チョコレート
  • ブドウ、レーズン
  • キシリトール
  • 殺鼠剤
  • ヒトまたは動物用の非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、抗うつ剤と続きます。


猫では1位がユリでしたが犬では猫の2位のチョコレートが1位ですね。
それぞれの中毒物質については猫の回を参照 )

犬ではキシリトールがランクに入ってきました。
キシリトールは、ピーナッツバター、ミント、飴、シロップ、チュアブルビタミンなどを甘くするために一般的に使用されているそうです。日本よりアメリカの方が一般的な可能性はあります。日本ではガムの誤飲がやはり多いです。キシリトールの症状で多いものは低血糖になります。症状で並べると以下が一般的です。

  • 嘔吐
  • 元気がなく無気力になる
  • 落ち着きがない。
  • 震える
  • 発作
  • 血圧低下
  • 重度の低血糖
  • 急性肝不全

殺鼠剤も夜間救急(ER)で勤務していた時はたまにありましたが、最近は減っている印象です。

お菓子に入っている乾燥剤も多かったです。


犬の誤飲・誤食のトップ10(中毒物質に限らず)日本のペット保険会社調べ

  1. チョコレート
  2. 人間の薬
  3. 玉ねぎ
  4. ペットのおもちゃ
  5. マスク
  6. 靴下
  7. とうもろこしの芯
  8. 鶏(骨含む)
  9. ネギ/ボタン/石
  10. タバコ/プラスチック
    PS保険HPより

犬も圧倒的に食べ物以外が多いです。靴下や石は大型犬に多いと思います。チョコレートはいつも1位ですね。有名な中毒物質で危険性も知られてきているにもかかわらずなかなか減らないチョコレート誤食。

危険にさらさないために・・・
繰り返しになりますが、薬や食べ物をしっかり片付ける。カバンに入れているものも漁られることがあります。洗濯物のがごから衣類を持ち出すケースも多いです。特に幼犬にとっては全てが遊び同部おもちゃは人がいる時に遊ばせ、遊びが終わったらしまう。お子さんを含めすべてのご家族に誤食・誤飲の危険性を普段から伝えておく。

食べてしまったら・・・
症状が出る前に行動する。症状が出てからでは遅く予防的な対応が必要になります。誤飲・誤食したものの一部や同じものがあればそれを一緒に持って動物病院へ行きましょう。有害物質が毛についてしまった時はそれ以上なめてしまうのを防ぐために多めのタオルで顔以外の体を巻いてキャリーに入れましょう。

お困りの時はまず動物病院に相談してくださいね。

この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。