異常値 〜肝数値

血液検査で異常値があった‥
肝臓の値(数値)に異常があります、などと臓器を特定されて言われることもありますよね。

肝臓に関連した血液検査の値は大きく2つに分けられます。
肝臓が傷害された時に上昇する項目と、肝臓で生成されているため肝臓が悪くなると下がってしまう項目です。
高値と言われる場合は前者です。

肝数値が高値の時は
肝臓自体の病気の他にどんな原因が考えられるでしょうか。

○ 薬剤(ステロイド、抗真菌剤、抗けいれん剤など)
△ 胆嚢疾患
△ ホルモン疾患 甲状腺機能低下症(犬)、甲状腺機能亢進症(猫)、副腎皮質機能亢進症
△ 膵炎
△ 糖尿病
× 敗血症
△ 心臓病(進行したもの)
× 高体温
△ 血栓塞栓症


などとあげられます。肝臓自体の病気以外にもたくさんあります。

○ すぐに除外できる ×身体検査や症状で簡単に除外できる △身体検査や症状に加え、他検査との組み合わせで除外できる(血栓は画像検査でなかなか見つからないこともあります。)に分けられます。猫と犬では違うところもあります。

異常値が出た時の対応 (症状や身体検査では異常がないことが前提です。)

  1. 以前の結果と比較、急なのか以前からなのか、以前からなら悪化の程度を確認することで原因の予測をする
    他の数値から除外できる病気は除外する。
  2. 飲んでいるお薬やサプリの確認。フードの確認。食べている期間など。
    フードやサプリが関係しているケースが多いわけではありませんが、以前数値が高くなかったことがわかれば最近追加し始めた摂取物をやめてみることもあります。
  3. 肝臓自体の画像検査を実施する。同時に他の臓器をチェックすることが一般的です。 ←エコー検査は仰向けや横向。緊張を和らげるため柔らかいマットを使います。
    数値が顕著に高値の場合は1,2と同時に3を推奨しております。
  4. 上記行っても何も異常が見つからないかった場合、一定期間の経過をみながら再検査を行う

数値が顕著であれば、この時点でCT検査や肝臓の組織検査(肝生検)を相談することもあります


実は最後の4が大事なポイントで元気だからと再検査しないでいると危険なことがあります。

肝臓は沈黙の臓器と言われているように、悪くなると血液検査で発見されてから症状が出るまでにはかなりの時間を要す場合も多いです。人でさえ自覚症状が出にくく症状出た時には手遅れなほど進行していることがあると言われています。

    沈黙の臓器肝臓

健康診断が大事な理由も沈黙の臓器があるのであれば納得かと思います。

異常値があった時は少しでもご安心できるように適切な検査や適切期間の経過観察(様子み)をご提案させていただきますね。

この記事を書いた人

巡 夏子

大学卒業後、北海道の中核病院で内科や外科診療に携わった後、関東の夜間救急病院で勤務しながら大学病院や2次診療施設で循環器診療を習得。その後、2つの一般病院で診療部長や副院長として診療にあたる。2023年、渋谷区元代々木町に「めぐり動物病院 元代々木」を開院する。